大勢が声を揃えて一つのことを言っているようなとき、少しでも違和感があったら、自分は何に引っ掛かっているのか、意識のライトを当てて明らかにする。自分が、足がかりにすべきはそこだ。自分基準で『自分』をつくっていくんだ。
梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』より
梨木香歩の『僕は、そして僕たちはどう生きるか』内の言葉である。この本は、数年前漫画化でも話題となった吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』の現代版ともいえるものだ。14歳の少年の目を通し、次々と変化していく日常の中で何を大切にしてどう生きていくべきかを考えさせられる本である。周りの雰囲気に屈して、どこかおかしいと思いながらも声を挙げられずにいた少年。結果、友達を傷つけてしまう。黙っていても、あれよあれよとものすごいスピードでこの世の中は進んでいく。なんとなく時間を過ごすのではなく、今何が起きているのか、それに対し自分はどう思うのか、考え続けることを大切にしたい。自分の気持ちと照らし合わせ、ひっかかりを大事にすることでもしかすると誰かを救うことができるかもしれない。また、自分が迷子にならないないためにも。
2021.06.28